2005年03月01日

酒造り3〜洗米

今回のお題は蒸し。

酒造りはお米を炊くわけではなく、蒸気で蒸します。 火を通す前の米はベータ型のデンプンで、火を通すことによってアルファー型に変わります。 アルファー化ってやつですね。 デンプンをアルファー化させる糖化酵素(アミラーゼ)の影響を受けやすくなります。 後の工程で加える麹がその糖化酵素を持っているわけですが、麹の持つ糖化酵素の力で米を溶かし、ブドウ糖を作るために米を蒸す(アルファー化)必要があるわけです。

一度アルファー化されて結晶組織を壊してしまえばたとえ米が冷めても結晶組織は壊れたままです。 大吟なんかの場合に当社もたまにやるのですが、夕甑(ゆうごしき)と言って夕方に蒸してそのまま蒸した米をひなし、翌朝仕込に使用する事もあります。 極端に仕込み温度が低い大吟醸酒とかの場合、この方法も有効です。 でもいつまでも取って置けるわけではなく、ずーっと前に蒸した米なんてのは使えません。 今では便利なモノもあってアルファー米といって蒸した米を急速に脱水、冷却してしまうとアルファー化された状態で長期間保存できるなんてお米もあります。 アルファー米は作業の効率化のために使用する蔵もあります。

米をアルファー化するには理論上は蒸気が米全体に到達してから15分あれば十分です。しかし、一般的には30分前後蒸している蔵が多いようです。 昔から外硬内軟の蒸し米が良いと言われていますが、何でそうなのか良く解りません。 基本的に良い蒸し米は表面がベトベトしてなくて、米全体が中心部まで均一にアルファー化されている蒸し米と言うことになります。 米の種類、品質、使用目的によって蒸し時間は微妙に調整され杜氏の腕の見せ所ですね。

最近では通常の蒸す工程を止めてしまう『液化仕込み(融米造り)』と呼ばれる手法もあります。 ちょいと難しいのですが、洗った米と液化酵素をミキサーで砕いてから煮て使用する方法です。 デンプンはブドウ糖の連鎖でできているのですがこの連鎖を液化仕込みによって大雑把にぶちぶちと切るとオリゴ糖になって、麹の力でオリゴ糖をブドウ糖に変えてやろうというモノです。 液状化されていますから温度コントロールに大きなメリットがあるのと、酒化率と言って、一回の仕込でできるお酒の量が多くなります。 米を融かしてしまうため酒粕が少ないって事ですね。

手法こそ違いますが基本は糖化酵素にデンプンをブドウ糖に変えて貰うための作業が蒸しということになります。 求める酒質や作業環境などの違いによってその手法・手段は様々です。 当社は小さい蔵でもあり、縦型の蒸し米器と横型の連続蒸し米器の2種類の蒸す装置を使って米を蒸しています。
普通は朝8時頃から作業が始まりますので、仕込み期間中朝10時半位までに当社にお越しになるともくもくと立ち上る蒸気がご覧になれますよ。

his_k at 14:43 │Comments(0)TrackBack(0)clip!酒のうんちく 

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