2005年04月01日

酒造り4〜酒母

前回は麹の部分までをお伝えいたしました。 前々回の蒸し米と前回の麹が主な原料となるのですが、この2つの原料の行き先は4〜5の工程へと分かれます。 1つは酒母工程へ、他は添仕込、仲仕込、留仕込へ、または製品によっては四段仕込へと分かれます。

今回はその内の酒母。 酉へんに元と書いて(パソコンの文字にはありません)もととも呼びます。 前回お伝えした「一麹、二もと、三造り」の2番目です。

酒母の目的はその後の本仕込みに備えて大量の清酒酵母を培養すること。 小さなタンクを使って米、水、米麹を主に使って文字通りお酒のもとを造ります。 ここで酒母も大きく2つの製法に分類できます。 生もと系と速醸系に分かれます。 何が違うかって言うと、乳酸を添加するか、自然に作り出すかの違い。 酒母の状態や仕込み初期にはもちろんアルコール分が殆ど無いので、バクテリアなどの雑菌に侵されやすく、これを防いでくれるのが乳酸です。 この乳酸を直接添加してしまう方法が速醸もと系。 添加せずに自然に出てくるのを待つのが生もと系です。 一般的には速醸もとが大半を占めますが、生もと系の酒母を使った製品を作っている蔵もあります。 一般的には生もと系はより多くのアミノ酸や酸を生み出しますので、濃厚な味わいになることが多いのが特徴です。 生もと系でも本来の「生もと」や「生もと」の作業を一部を省略した「山廃もと」などに分類できます。 清酒酵母も添加せずに蔵に浮遊している清酒酵母が自然に入り込んで来るのを待ちます。

速醸もとは蒸し米に米麹・水を入れた状態に乳酸と純粋に培養された清酒酵母を加えて、先に清酒酵母が健全に増殖できる環境を整えてしまう方法です。 現在はこの手法が主流で、味的にも近年の消費者の嗜好にも合っていると思われます。
速醸もとでおよそ10日間から2週間程度の期間を要します。

そこで疑問に出てくるのは、酒母の目的が大量の清酒酵母を造ることであれば、酒母なんか造らずに仕込の最初っから混ぜてしまえばということになります。 酵母仕込みという方法もあって、この場合基本的には外部業者から買ってくるのが一般的ですが、酒母の工程を省略して、来月ご説明する仕込の時に大量の酵母と乳酸を加えて醸造する方法もあります。 当社では行っておりませんが、仕込み始めや、正月明けなどに利用している蔵もあるようです。

酒母の味は酸も強く乳酸菌なども含みますのでちょいと違うかも知れませんがヨーグルトの様な味わいです。 現在アルコール度が10%を切るような低アルコール酒がいくつか発売されていますが、この酒母の段階を搾って清酒にするとあの様な味になります。 そのままだと米もたいして融けていなく歩留まりも悪いのでそればかりではありませんが。
良い酒母を作ることは、この後の仕込み作業の方向性を決める大事な作業です。 酒母がもとになりこの後大きなタンクに移されて本仕込み作業に入ります。

his_k at 14:43 │Comments(0)TrackBack(0)clip!酒のうんちく 

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