2005年05月01日

酒造り5〜仕込初期

酒母ができるといよいよ本仕込みの作業です。 本仕込みに使用する原料は米・米麹そして水。 もちろん酒母。 一般的な仕込では合計3回に分けて仕込み作業を行います。 最初の日は「添え仕込み」、2日目は「踊り」と言って仕込み作業はお休み、3日目に「仲仕込み」、4日目に「留め仕込み」と行います。 大雑把に言うと使用する原料を仕込む都度倍、倍と増やしていきます。 当社の場合だと1本あたりの総米量が約2トン。 酒母の分も含めて倍々と量を増やし最終的に1本のタンクに2トンのお米が入ります。 これを「2トン仕込み」と言います。 この状態のタンクの中身は「もろみ」と呼ばれます。
私が見たことのある限りの最大は60トン仕込。 大手の酒蔵ですが、量が多すぎて常にお米を投入する必要があり、前述のような添え、仲、留めなどの仕込の区別はありません。
さすがに2トンものお米が入るともろみ初期は人力での攪拌が大変です。 これも私の見た限りですが3トンの仕込みでも手作業で攪拌している蔵がありました。 まぁ、この辺が限界かな。 これ以上の大きな仕込になると機械を使用して攪拌することになります。
仕込の時に気にするのが仕込んだ後の温度。 10度ちょいの温度帯ですが、目標の仕込み温度になるように、水の温度や蒸し米の温度を調整して投入します。 高すぎると早く発酵が始まってしまい雑味の多い酒になりますし、低すぎると十分に発酵しないと言うことになります。

何で3回にも分けて原料を投入するかというと、日本酒独特の並行副発酵というややこしい言葉が登場します。 清酒酵母は酒母の段階で十分に造りましたので、この後は米麹の力で米のデンプンをブドウ糖に変え、出来上がったブドウ糖を酒母でたくさん作った清酒酵母でアルコールに変える作業をうまくコントロールすることが重要と言うことになります。 この糖化と発酵が1つの容器内で同時に行われるのが並行副発酵。 ビールやワインなどの単発酵に比べ高濃度のアルコールを取得できることが特徴です。
これは糖分と密接な関係があり、糖分が多すぎると濃糖圧迫と言って清酒酵母が糖分があるにも関わらず十分に発酵ができません。 段階的に蒸し米や米麹を投入することで、もろみ中の糖度を適度に保ち、十分に清酒酵母が活動できる環境を作って上げるわけです。 これにより、世界的に見ても他の醸造酒に例を見ない20度を超えるようなお酒を造ることができるわけです。

his_k at 14:45 │Comments(0)TrackBack(0)clip!酒のうんちく 

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